2005.09.14

マジックキングダムでおちぶれて

2005/08/24 購入
2005/09/02 読了

一言でいえばディズニーランドヲタクによるディスニーランドヲタクの
ディズニーランドヲタクのための本。
記憶のバックアップとダウンロード、クローンの促成技術によるほぼ不老不死とネットワークに常時接続のインプラントでの情報共有とフリーエネルギーによる労働からの解放が実現した社会での生きがいとはなにかを考察した小説のはずが…
ホーンテッドマンションの改造話で対立するという矮小なストーリーになっちゃあおしまいですよ。
不老不死なんだから、他人の気に入らない改造など1000年位ほっておいてみんなが飽きた頃に自分の意見で改造すればいいじゃないかと思ったのは自分だけではあるまい。
ディズニーランドヲタク以外あまり読む価値のない本でした。

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2005.06.21

SFベスト201―SF handbook


2005/06/07購入

1970年前半から2000年までの間に日本で翻訳されたSFのなかから201冊の書評(書評は170冊、それ以外は解説等の言及のみ)をのせたSFガイドブック。
伊藤典夫が編集し、大森望、尾之上俊彦、堺三保、高橋良平、中野善夫、中村融、三村美衣、森下一仁、山岸真の各氏が執筆している。
現在日本SF界における気鋭の作家、翻訳家、評論家の各氏の執筆だから安心して読める。
それにしてもここに載っているほとんどの本が現在入手困難という状況はどうにかして欲しい。 これではガイドブックの意味が半減するし、新しい読者を開拓できないだろう。早川書房、東京創元社はこれをきっかけに状況を改善してもらいたいとつくづく思う。

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2004.12.09

パイティング・ザ・サン

2004/11/30 地元駅前のBK1で平積になっていたのを発見し衝動買い。
2004/12/09読了。
「太陽に噛みつくな」「サファイヤ色のワイン」という連作中篇2作の合本。それでタイトルが「BITING THE SUN」とはこれいかに。
copyrightが1976, 1977となっているから28年も前の作品かよ。なぜ今ごろ、それもマイナーな産業編集センターからでたのかちょっとびっくり。
ロボットにより完全に管理されたユートピア/ディストピアで性別が自由に替えられたり、自殺してもすぐに新しい身体で復活できたりと設定自体が確かに古臭い気がする。
この設定からA・C・クラークの「都市と星」のダイアスパーを思い出してしまうのはしかたのないことなのか。
文体や、構成、設定など全体にとっちらかった印象が強い。
往年のサイバーパンクを彷彿とさせる、ってこっちが古いのか。
それともきらびやかな各種の描写から「ヴァーミリオン・サンズ」を思い浮かべたりなんか類似本ばかり思い浮かべてしまうそれはそれで不思議な作品ではある。
結末が予定調和でメローになるところとプロットに若干の穴があるところがちょっと不満かな。

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2004.10.30

『ふたりジャネット』

テリー・ビッスン『ふたりジャネット』

2004/10/25購入
2004/10/27読了

河出書房新社の奇想コレクションの一冊です。
『世界の果てまで何マイル』や『赤い惑星への航海』を書いたアメリカ南部のおっちゃんの法螺話が9つの短篇集ですがどれも面白い。

「熊が火を発見する」Bears Discover Fire
さすがトリプルクラウン+スタージョン記念賞、デイヴィス読者賞などの受賞作。my favarite でした。できれば表題  作にして表紙を松明を持つ熊の絵にしてほしかった。読み進めるとなぜか焚き火にあたっている熊が限りなく人間のように思えてくる。傑作。

「アンを押して下さい」Pree Ann
しゃべるATM。途中面白いのにオチが中途半端。残念。

「未来からきたふたり組」Tow Guys from the Future
時間旅行とパラドックスのロマンティックコメディ。「アイ・ラブ・ルーシー」ってどんな映画だっけ。
ルイス・キャロルも関連したり、まだまだ気づかない個所があるかも。

「英国航行中」England Underway
ひょっこりひょうたん島になったイギリス。それにしても英国紳士の特徴が良く書けてるなー。

「ふたりジャネット」The Two Janets
主人公の故郷になぜか作家が次々引越ししてくる。奇妙な味のお話。なぜこれを表題作にしたの? ややインパクトに欠けるなぁ。

「冥界飛行士」Necronauts
盲目の画家が臨死体験。『航路』と比べてはいけないがコンパクトにまとまってはいるなぁ。どうして臨死体験ものってこう後味が悪いのか。読後陰気な気分になってしまった。

「穴のなかの穴」The Hole in the Hole
《万能中国人 ウィルスン・ウー》シリーズ第一作。
面白い。車オタクにNASA(宇宙開発)オタク。万能中国人が面白いのは当たり前だがボケ役の主人公がいい味をだしている。

「宇宙のはずれ」The Edge of the Universe
《万能中国人 ウィルスン・ウー》シリーズ第二作。
面白いの2連発目。紐理論、反エントロピーなどなど。ばりばりのハードSFのふりをした単なるほらばなしなのにつりこまれる。

「時間どおりに教会へ」 Get Me to the church on Time.
《万能中国人 ウィルスン・ウー》シリーズ第三作。
面白いの3連発目。余暇宇宙、局所的時空のゆがみ、バタフライ理論。主人公がどこにいても電話をかけてこれるウーがすごい。

万能中国人素敵。それにしてもシリーズ名になっている万能中国人って本文のどこにもでてないんだよなー。
まさにそのとおりの呼び名だとはおもうけど。

古き良きアメリカン・トール・テールです。特に《万能中国人 ウィルスン・ウー》シリーズはイチ押し。
短編集なので色々なビッスンが味わえるお得な1冊。

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2004.08.18

『揺籃の星』

ジェイムズ・P・ホーガン,『揺籃の星』上
内田昌之訳,創元SF文庫,663 23, P.315, \720,2004/7/25初版

ジェイムズ・P・ホーガン,『揺籃の星』下
内田昌之訳,創元SF文庫,663 24, P.382, \840,2004/7/25初版


CRADLE OF SATURN の全訳。
(上巻)
地球はかつて土星の衛星であった!?土星の衛星に住むクロニア人科学者たちは、地球の科学者にとって到底受け入れがたい惑星理論を展開する。太陽系は何十億年も同じ状態を保ってきたわけではない。現に今、木星から生じた小惑星のアテナは突如彗星と化し、地球を襲おうとしているのだと。物議を醸したヴェリコフスキー理論を大胆に応用、宇宙の謎に迫るハードSF新三部作開幕。
(下巻)
通信障害の増加、いちじるく明るいオーロラの発生。彗星アテナの息吹は確実に地球に届きつつあった。大変動の日を迎えたとき、地球の未来に貢献できる人物とはクロニアにたどり着ける者であり、クロニアに行く唯一の手段とは軌道上にあるシャトルに乗り込むこと。そこで有能な原子力エンジニアでクロニア人の信頼を充分に得ているキーンが召集されるが・・・彼の下した決断は?

『衝突する宇宙』のヴェリコフスキー理論が下敷きに彗星が地球に近接しカタストロフィに至る設定を縦軸に土星の衛星に移住した人類との思想信条のギャップを横軸にストーリーが進む。
アテナを地球に接近させるあまりに荒唐無稽な理論展開に最初は辟易しながら読み進んだが、いつしかストーリに巻き込む手腕はさすがだ。『星を継ぐもの』以来変わらない手法ではあるが一歩間違うとまんまんとホーガンの術中にはまってしまうなぁ。いやそれはそれで快感ではあるが。「理論上恐竜は存在しなかった」など危うくひっかかるとこだった。総じて面白いのだが後半のエクソダスは少し強引だな。久しぶりにジャイアントスター4部作を読み直すか。

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2004.07.27

『ノービットの冒険』

パット・マーフィー,『ノービットの冒険−ゆきて帰りし物語−』
浅倉 久志訳, ハヤカワ文庫SF, SF1357, P431, \800, 2001/6/15発行

2004/7/25購入, 2004/7/26読了

J・R・R・トールキンの『ホビットの冒険』を下敷きにしたスペースオペラ。

アステロイド・ベルトでひっそりとくらす軌道生活者(ノービット)のベイリー・ベルトンは、ある日、日課の小惑星めぐりで打ち捨てられたメッセージ・ポッドを拾った。律儀なベイリーは宛名人にメッセージを拾った旨を通知した。まさかそれが女性探検家ギターナやファール一族とともに、驚くべき冒険の旅にでるはめになるとも知らずに・・・

トールキンの『ホビットの冒険』をパロッた題名と表紙に辟易として発売当初は内容も見ずに敬遠して買わなかったが、ひょんなことから古本屋で発見し半額以下なら買ってもいいかなと購入し読み出したらいきなり引き込まれて一気に読了してしまった。いやー面白い。『ホビットの冒険』をこれほどうまくスペースオペラに仕立てるとはパット・マーフィーも見直したぞ。彼女のネビュラ賞受賞作『落ちゆく女』もきちんと読み直してみるかな。

解説によるとパット・マーフィーはばりばりのフェミニストらしいがだからといって主要な登場人物のほとんどを女性にするのはちょっとやりすぎかな。まあそれを差し置いても面白いことにはかわりはないが。
なんといってもビルボの指輪に相当する秘宝の扱いがうまいと思う。指輪の置き換えの上に二重に仕掛けられた設定が久々にセンスオブワンダーを感じさせた。

原本の『ホビットの冒険』とルイス・キャロルの『スナーク狩り』が激しく読みたくなった。

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2004.07.16

『造物主の選択』

ジェイムイズ・P・ホーガン,『造物主の選択』
創元SF文庫 SF-ホ-1-20, P.491, \800, 1999/1/29初版

2004/6/20 購入,2004/07/15 読了

『造物主の掟』の続編。インチキ超能力師ザンベンドルフ君、またもやタイタンで大活躍。
ついに異星種族とファーストコンタクト。

『造物主の掟』から15年以上たって出た続編。タロイドを送り出した異星種族の話がメインプロットになっているが、この異星種族が異常に性格が悪い。前作でこの異星種族は母星ごと超新星爆発の影響で百万年前に滅亡したことになっていたが、ホーガンはちゃんとその部分と整合をとりながらファーストコンタクトを実現している。

前作もその傾向があったが前半から中盤にかけて少したるい。中盤を乗り切ればエンディングにかけてはたたみかける様に進むので前半は我慢が必要だ。
異常に性格の悪い異星種族が作り出した人工知性が異常に素直な性格だったり、ラストにかけてちょっと御都合主義な展開になって不満がのこるが、総じて評価出来る。

例によって、機械知性、サイバースペース、異星、異種族の背景構築、などなどハードSFてんこもりでその筋の人にはお勧めの1冊。

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2004.06.22

『造物主の掟』

J・P・ホーガン,『造物主の掟』,CODE OF THE LIFEMAKER
小隅 黎訳, 創元推理文庫,P.555,\680,1985/10/25再版

2004/06/30 読了

インチキ超能力者ザンベンドルフ君のタイタンでの大冒険。

100万年前超新星爆発の影響を受けて異常をおこした異星人の自動工場船が土星の衛星タイタンに不時着した。本来ならタイタンの資源を加工して母星におくりだすはずが、プログラムの異常により独自の進化をしたロボットが中世さながらの社会を形成していた。

今頃何故『造物主の掟』のような古い本を読んでいるかというと、続編の『造物主の選択』(これも古いけど)をたまたま書店で見つけて慌てて買ったのだけれど『造物主の掟』をすっかり忘れていたのでまずこちらから読むことにしたため。

プロローグの異星のロボットの進化の説明にしびれた。
ホーガンは実はこの部分を書きたかったからこの本を書いたんじゃないかと思うほど気合がはいっている。また疑似科学のインチキの方法を詳細に説明したり、途中謀略小説のようなプロットがでてきたり、もちろんホーガンなのでばりばりのハードSFであるので
1粒で3度おいしいという位おもしろかった。

疑似科学にいては以下の本を副読本として勧めておこう。
マーティン・ガードナー「奇妙な論理 」(1), (2)ハヤカワ文庫NF

インチキ超能力者が最も恐れるのは子供と同業者であるプロの奇術師で、最もだましやすいのが
マスコミが専門家として起用する科学者であると言うくだりは頷ける。


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2004.06.16

『マインドスターライジング』

ピーター・F・ハミルトン『マインドスターライジング』上
竹川典子, 創元SF文庫 SF-ハ-14-1, P.350, \780, 2004/2/27初版

ピーター・F・ハミルトン『マインドスターライジング』下
竹川典子, 創元SF文庫 SF-ハ-14-1, P.350, \780, 2004/2/27初版

実験的に人工器官を埋め込まれた特殊部隊マインドスター隊の生き残りグレッグ・メンダルは
超感覚により他人の感情を克明に読み取ることができる。 
フリーランスになった彼を英国最大の企業が社内の破壊工作の調査のために招聘した。

人間嘘発見器グレッグ・メンダル君の活躍。
超感覚、ハッカー, サイバースペース, 軌道工場などなど、それなりのガジェットがちりばめられて謎解きがてら
ストーリーがすすむ。 大人の時間(笑)もあり。

結末はちょっとくさいけどそれなりにぐいぐい読ませる力はあるなぁ。 あまり聞いたことのない翻訳者だけど
訳はなめらかそうで可もなく不可もなく読めた。

グレッグ・メンダルシリーズ3部作の第1作。
2作目 Quantam Marder, 3作目 Nano Flower の翻訳はまだ出ていない模様。 早く続編が読みたいぞっと。
このあとSFとしてもう少し気合の入ってるらしい「ナイツ・ドーン」3部作も控えているがこれまたいつになることやら。

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2004.05.12

サリバン家のお引越し

野尻 抱介, 『サリバン家のお引越し』
ハヤカワ文庫JA758, P.311, \680, 2004/5/15発行

クレギオンシリーズ第4作です。 惑星から軌道コロニーへ引っ越す家族の荷物を請け負ったミリガン運送の
3人組み。 見習い社員メイが現場最高責任者になるけどアクシデントの連続でとんでもない危機に見舞われる。

2004/05/08 購入。 2004/05/12 読了。
ライトノベルズのふりをしながらバリバリのハードSFです。
軌道コロニーとかの背景設定をかなり綿密にやってますねー。いや、面白いです。
今まで読んだクレギオンシリーズ4冊の中では一番面白かったですね。欲を言えば、もう少しコロニーのエピソード
をふくらませても良かったような。後半部分が少し物足りないかなって感じです。
まあ、初出が富士見文庫だし、この分量が限界だったのかもしれません。

飛 浩隆の解説はさすが作家ならではの深読み。 ここまで読み込んでいるのかー、彼は。
修行の足りなさを痛感する今日この頃。 楽しく読めりゃいんだと言い訳を言いたくなる。
というか、同業者が解説を頼まれるとここまで気合を入れて書くんだなー。って、あたりまえか。

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